最近の小児がん研究について

※このページは更新により米国CureSearchWebからは既に削除されている内容ですが、参考情報として日本版に掲載しています。

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治療を可能にするために小児がんについて解明しようとする現在進行中の研究は、大きな成果を挙げつつあります。下記は最近における最もめざましい発見の例です。

 

フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病

小児がんで最も多いのは急性リンパ性白血病(ALL)で、たくさんの病型があります。そのうちの1つにフィラデルフィア染色体陽性ALL(Ph+ALL)と呼ばれるものがあります。最近までフィラデルフィア染色体陽性ALLに望ましいとされる治療は、3~6か月間の化学療法の後に造血幹細胞移植を行うことでした。残念ながら、この積極的な治療でさえ治癒率は50%未満であり、造血幹細胞移植で治っても深刻な晩期合併症を経験する場合がありました。

米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)の医師によって行なわれた新しい研究によって、「イマチニブ」と呼ばれる新薬を組み合わせた化学療法を用いて患児を治療することで、フィラデルフィア染色体陽性ALLの治癒率が2倍になることが明らかになりました。この知見に基づけば、フィラデルフィア染色体陽性ALLの患児に対する最適な治療が造血幹細胞移植であるという考えはもはや正しいとは言えません。

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神経芽腫

米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)の研究者は、3,500人を超える神経芽腫の患児を分析した結果、アフリカ系アメリカ人とアメリカ原住民族の子どもには東欧系アメリカ人の子どもよりも進行性の高リスク神経芽腫が多い傾向があるということがわかったと発表しました。どちらのグループも全体的な生存率と再発なしの無病生存率の両方が低い状況でした。次の段階として研究者は、DNAのどの箇所が抗がん剤への抵抗性と関係があるのか、3,600人を超えるアフリカ系と東欧系の神経芽腫の患児から採取したデータを研究所で分析することを計画しています。

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髄芽腫

ボストン小児病院の研究者は、髄芽腫を異なる「指紋」(すなわち生物標識)を持つ6つの亜型に分類しました。これにより、医師がより適切に治療方針を決定し、個別化された治療を行うことが可能になります。米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)はこの情報を適用した臨床試験を近いうちに開始します。髄芽腫の治療に生物標識が初めて利用されることになります。

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横紋筋肉腫

オレゴン健康科学大学・ドーンベッカー小児病院の研究者達は、横紋筋肉腫(筋肉のがん)の起源となる細胞を明らかにしました。小児期および成人期の肉腫は、生物学的所見、突然変異、腫瘍が最初に発症した部位の細胞に関連していると報告しています。これらの発見は、成長因子受容体のような「分子標的」を阻害する(化学療法とは異なる)薬剤につながるかもしれず、その薬ができればこの病気の進行を止めたり完全に治したりすることが可能になることでしょう。

米国では毎年約350人の15歳未満の子どもが横紋筋肉腫と診断されています。現在、米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)では横紋筋肉腫の細胞構造を分析して新しい薬剤を開発するために複数の臨床試験を行っており、米国CureSearchはこれらに対して資金提供を行っています。これらの臨床試験の1つでは、特定のタンパク質を阻害することで薬剤への反応を改善できるかどうかを判定するために、60の組織標本上で様々な化学療法薬剤の働きを測定しています。

研究所でのこのような研究からの発見によって、横紋筋肉腫の細胞だけを特に標的にする化学療法の開発、さらに、治療への反応の改善や、病気の治癒へと結びつけることが目標です。

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効果的な治療のための、治療に適用可能な研究(略称「TARGET」)

小児の急性リンパ性白血病(ALL)に関する大規模なゲノムの解析を行なうために手を携えた米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)と米国立がん研究所(National Cancer Institute、略称:NCI)の研究者は、「TARGET(効果的な治療のための、治療に適用可能な研究)」(※訳注:Therapeutically Applicable Research to Generate Effective Treatmentsの頭文字をとった略称)を結成しました。この研究では、COGの臨床試験に参加したALLの患児のうち、治療がうまくいかない可能性が非常に高いことで知られていた患児の遺伝子的な特徴について検討されました。新しい、より標的を絞り込んだALL患児のための治療薬の開発に役立つ白血病細胞の異常を見つけることが目的です。

研究者は、これらのALL患児の5~10%に、ALL細胞の増殖や存続をコントロールする際に重要な役割を果たすJAKという遺伝子にこれまで知られていなかった共通の突然変異があることを発見しました。この発見が現在進行中のCOGの第Ⅰ相臨床試験の開発に結びつきました。その臨床試験は、内服可能なJAK抑制剤という新しい薬剤の安全性と副作用を確認するための試験です。COGの研究者は治療が成功しないリスクが高い一部の小児ALLの治癒率の改善をめざして、標準的な抗がん剤とJAK抑制剤を組み合わせる臨床試験をさらに計画済みです。

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