患児の家族を支援する際のガイドライン

INDEX

小児がんと診断されたばかりの患児の親は、自分たちにとって必要な事柄をうまく説明することができません。そこで、このような経験をした親たちと面会し、どのような手助けが最も効果的であったか確認する研究が行われました。その研究成果の概要は以下の通りです。

A. 周囲の人たちに家族の状況を伝える

知らせる必要がある人たち全ての電話番号やメールアドレスを集めましょう。一人を選び、その人からリストアップされた全員へ電話、メール、手紙などでがんの診断について伝えるようにしましょう。伝える内容については、何をどのように伝えるかを家族に確認してもらう必要があります。その家族がウェブサイト、ブログなどのコミュニケーションサイトを開設しているのであれば、その旨もメッセージの中に入れておきましょう。そうすれば、その後の様子がわかり、連絡を取りやすくなります。メッセージの中には、その後の状況や手伝いの必要性を知りたい時に連絡すべき人の名前を入れておきましょう。米国には「HIPPA(※The Health Insurance Portability and Accountability Actの略、医療における個人情報保護法)」という法律があり、医療関係者が患者の家族以外の人に許可なく話をすることを禁じています。日本においても同様の配慮が必要となりますので、注意してください。

ページの先頭に戻る↑

B. 食事の手配

多くの家族が食事を届けてもらったことに大変感謝していました。というのも、買い物と調理の時間を見つけるのがとても難しい状況だからです。いつも料理を担当している家族が患児に付き添っている場合には、家に残っている家族は手作りの料理を喜ぶことでしょう。家族によって毎日届けてほしいと思う場合もあれば、週に2~3回の方が良いと思う場合もあります。調整役を務める人は予定表を作りましょう。常に在宅しているとは限らないので、食事をクーラーボックスなどに入れて玄関先や勝手口などに置いておくのも良い方法です。チャイムを押して声をかけた方が良いのか、何も言わずにそっと置いておくだけの方が良いのかをその家族にあらかじめ聞いておきましょう。この点に関しては、その家族の忙しさ、接触による感染症を心配しているかどうか、何か別の要因があるかによって変わってきます。できれば使い捨ての食器を使い、返却しなくてよいということを伝えて、家族の負担を軽くしてあげましょう。使い捨ての食器を用意できない場合には、食器を洗った後、最初に食事を置いたところに黙って返しておくという約束にするのも良いでしょう。

文化や宗教の違い、アレルギーの問題などがあるので、食材選びは慎重に行ってください。これらの問題については、家族から調理を担当するボランティアの人たちへきちんと伝えてもらうべきです。ウェブサイトや電子メールなどを使えば簡単に情報を共有することができます。同じ料理が何日も続くのを避けるためには、他の人が用意したものがわかるようにしておくと良いでしょう。

調整役の人はGoogleカレンダーなどのウェブサイト上のスケジュール管理ツールを使うと、食事の準備を分担する人たちが書き込める予定表を作ることができます。誰かが病気になった時、周囲の人たちが家族のために食事を提供する際に役立つウェブサイトは他にもたくさんあり、そこには、家族の食事の好み、住所、誰がいつ担当するかなどの情報を入れることができます。

参考までに、米国には以下のようなウェブサイトがあります。(※訳注:全て英文サイトです。)

ページの先頭に戻る↑

C. 車での送迎

健康な兄弟姉妹にとっては日常生活を続けられることが重要です。彼らには学校までの送り迎えが必要かもしれません。定期的にサッカーの練習やピアノのレッスンに通っている場合や、親戚の家、学校の課外活動、教会やアルバイトなどから夜遅くに帰らなくてはならない場合には、車での送り迎えが必要です。また、兄弟姉妹を病院へお見舞いに連れて行って、帰りも家まで送ってあげるようにすると、親御さんは病院での付き添いをしながら他の子どもたちにも会えて、家族全員で一緒に過ごすことができます。兄弟姉妹のお見舞いは一般的に短時間の方が良いようです。あなたが車を運転して送迎してあげることで、子どもたちともっと頻繁に会えるようになれば、親御さんは子どもへの責任と病院ですべきこととの板挟みで苦しまなくても良くなります。

ページの先頭に戻る↑

D. 学校のことを知らせる

学校のニュースは見過ごされてしまいやすいので、学校での活動の輪の中に家族が居続けることができるように、患児と同じクラス、あるいは患児の兄弟姉妹と同じクラスの子どもを持つ親御さんは、学校やクラスでどんなことが起きているかを時々教えてあげると良いでしょう。

ページの先頭に戻る↑

E. ブログサイトなどの開設支援

パソコンに詳しい人ならば、家族が写真を載せたり、病院で何が起きているかを書いたり、患児の状況を伝えたりするためにブログやSNS(ソーシャルネットワークサービス)を開設したいという場合に手伝うことができます。ブログやSNSは事態がどのように進んでいるかを伝えるのに使うことができ、家族への支援を募ることもできます。しかしながら、好ましくない面もあります。例えば、一部の人は前向きなことだけを書きたいと思っているのに、別の人たちが必要以上に詳しい事情を書きたがる場合があります。

参考までに、米国において小児がんの患児の家族や小児がんや若年性がんにかかった経験者の若者に人気のある無料のブログサイトは以下の2つです。(※訳注:いずれも英文サイトです。)

ページの先頭に戻る↑

F. 経済的な支援

米国では、子どもが通う学校の保護者、近所の人、職場の同僚、あるいは家族が通う宗教施設のメンバーなどが、家族の突然の出費のために資金集めをすることがあります。このような動きは、集まったお金の多い少ないに関わらず、家計の助けになる上、これからも続く小児がんとの闘いの中で家族の心の支えになります。ある家族のために支援基金を立ち上げる場合には、受け取る家族側の税金の問題を確認しておくことが大切です。このようなお金を受け取ることや、自分達のために募金が行われることを快く思わない家族もいるかもしれません。しかし、子どもががんにかかった時には仕事による収入が減ると同時に様々な出費がかさみます。そうした費用には治療費だけでなく、子どもの世話、外食費や食事を購入する費用、駐車料金、子どもの体重の増減に伴って必要になる洋服代、自宅から遠い所で治療を受けるのであれば電車や飛行機の運賃、レンタカー代などの追加費用が含まれます。また、子どもの症状が重い場合には、緩和ケアや在宅ケアのための費用もかかります。

ページの先頭に戻る↑

G. 食料品や日用品の購入

患児の家族がいつも食べているもののリストを作っておいてもらうと、その家族が本当に必要な品目を確かめることができます。買い物を自分たちでしたいと思っている家族には、いつも利用する店の商品券を渡してあげるのも良いでしょう。あるいは、大きなスーパーや百貨店で行っているような配達サービスを使って注文してあげることで、家族の都合の良い時間に必要な物を直接届けてあげることができます。

ページの先頭に戻る↑

H. 付き添いの家族に昼食を届ける

I. 付き添いの家族が食べやすいものをまとめて届ける

栄養補助食品、ブリックパック入りの牛乳やジュース、ナッツ、ドライフルーツなど、栄養価が高くて食べやすいものが良いでしょう。(病院に何日も泊まり込んでいる親御さんたちは、きちんとした食事をしているとは限りません。)

ページの先頭に戻る↑

J. 患児の兄弟姉妹を外出させてあげる

その子の好きなスポーツの試合に行く、アイスクリームを食べに行く、映画に行く、など何でも構いません。あなたの家のイベントに招待してあげると、特別な気分を味わうことができ、自分達が歓迎されていることがわかります。

ページの先頭に戻る↑

K. 患児の兄弟姉妹のために何かしてあげる

例えば、それぞれの子の名前を入れた面白い手紙を送ってあげると良いでしょう。

ページの先頭に戻る↑

L. 付き添いの家族を休ませてあげる

病院では患児のそばに座っていてあげてください。そうすればその間、付き添いの親御さんは他のことをすることができます。

ページの先頭に戻る↑

M. 家事の手伝い

犬の散歩、ペットの世話、郵便物の仕分け、請求書の整理(請求書の内容を集計表にまとめて経過を記録できるようにするとなお良いです)、掃除の手伝いなどを申し出てみましょう。

ページの先頭に戻る↑

N. 遠方の親戚が来る時の送迎

最寄りの空港や駅まで車で送り迎えをしてあげましょう。あなたはその親戚のことをよく知ることができますし、その親戚はあなたに今の状況を質問したり、訪問の準備をしたりすることができます。

ページの先頭に戻る↑

O. 子どもの買い物への付き添い

患児や兄弟姉妹が必要な物(学用品、靴など)を買う際に付き添ってあげましょう。

ページの先頭に戻る↑

P. 泊まりでの預かり

兄弟姉妹(子どもたち全員あるいは誰か一人)を泊まりで預かってあげましょう。そうすることで、親御さんは本当に必要な時に一晩一緒に過ごす機会を得ることができます。

ページの先頭に戻る↑

Q. あなたの特別な才能を活かす

趣味や仕事で培ったあなたの特別な才能を活かしてください。例えば、経理が得意なのであれば、収支バランスの確認、税金の申告、家計の相談にのってあげるなどの支援ができます。キルト作りが得意なのであれば、その家族のために特製のキルトを作ってあげましょう。もしあなたがおいしいパンを焼く名人ならば、月に一度でも良いので焼いたパンを届けてあげてください。

ページの先頭に戻る↑

R. 患児のための帽子作り

(治療によって脱毛してしまった患児のために)柔らかい毛糸で手編みの帽子を作ってあげてください。兄弟姉妹におそろいの帽子を編んであげるのも良いでしょう。

ページの先頭に戻る↑

S. ビデオレター作り

あなたや、患児が大好きな他の人たちからのビデオレターをプレゼントしてあげてください。

ページの先頭に戻る↑

T. 情報収集

病院や家にいる時にパソコンの起動やインターネットへのアクセスができないことがあります。しかし、医療関係者や友人から「インターネットで見ておいてください」と言われることはよくあることです。その家族がインターネットにアクセスできていないようであれば、あなたが代わりに情報を探してあげてください。求めている情報は印刷して持って行ってあげるか、ノートパソコンを貸してあげると良いでしょう。

ページの先頭に戻る↑

U. 話を聴く

親御さんや、兄弟姉妹、患児本人に近況を尋ねてください。そして、心から気に掛けているという気持ちで話を聴いてあげてください。何とか力になってあげたいという気持ち、また、前向きな気持ちで聴くことも重要です。親御さんは心配のあまり、うちのめされていることが多く、あなたから愛情や思いやり、そして前向きなエネルギーをもらう必要があるのです。

ページの先頭に戻る↑

V. 付き添いの親御さんの運動を手伝う

運動は看病をしている親御さんのストレスを軽減し、体調を改善します。友人や近所の人が週1回、あるいは都合がつけばそれ以上、散歩などの時間を作って付き合ってあげると良いです。運動だけでなく、人と会って話す機会も作ってあげることができます。

ページの先頭に戻る↑

W. 輸血への協力

白血病だけでなく他のがんでも治療に際して輸血が必要になることがあります。血液の提供を申し出ると、ご家族に喜ばれることでしょう。

ページの先頭に戻る↑

X. 頭髪の提供

米国には、かつらをつくるために頭髪を寄付する活動をしている「Locks of Love」という団体があります。http://www.locksoflove.org/(※訳注:英文サイトです。)

ページの先頭に戻る↑

Y. お見舞いに行く

自宅や病院へお見舞いに行きましょう。まずは電話で先方の都合を聞くのが最善の方法です。もしお見舞いの品を持って行くのであれば、兄弟姉妹の分も持って行ってあげましょう。治療中の患児やその兄弟姉妹には、本、パズル、ビデオ(DVD)、靴下、おもちゃ、絵を描く道具などが喜ばれます。患児や親御さんは疲れているかもしれないので、十分に注意してください。早めに退出した方が良いと思われたら、訪問は短時間で切り上げてください。

ページの先頭に戻る↑

Z. 看病をしている親御さんへの支援

もしあなたが親御さんの職場の同僚ならば、看病をしている親御さんの分までできるだけカバーしてあげてください。

 

周囲の人たちからの支援

ページの先頭に戻る↑

前のページへ戻る