知り合いのお子さんががんになった時

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あなたが知っているお子さんががんになった時、心配したり、悲しんだり、何か手助けできないかと思うのは当然のことです。

しかしながら、周囲の人たちから支援の申し出があった時に、多くの親御さんは何と返事をしたら良いかがわからないものです。どのような助けが必要なのかが自分でわかっていない時もあります。実際、「いつもなら私が他の人を支援する側なのに・・・」とか、「支援の手を差し伸べられることに戸惑います」などと言う人もいます。

わが子が小児がんと診断されたばかりの親は、新たに考えなくてはならないことが多く、往々にしてそれらに圧倒されそうになっています。中には、親族や友人にさえも助けを求めることを潔しとしない人もいます。以下は、がんと向き合っている家族を手助けするにはどうすれば一番良いかについての情報です。

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ストレスを感じている家族を支援する方法

各種情報や実践的なアドバイス、精神的な支援を提供するために、あなたにできることはたくさんあります。それによって患児とその親、他の家族の生活の質に大きな違いが生じます(※参考文献2)。ストレスを感じる時でも、周囲の人たちからの支援があれば、自分たち家族は気にかけてもらっている、大切な存在である、尊重されていると感じることができます(※参考文献3)。周囲の人たちとは、親戚、友人、学校の先生や他の生徒の保護者、近所の人、職場の同僚、信仰している宗教があればその関係者、その他につながりがある人たちのことです。このような周囲の人たちの支援を受けている患児の親は、支援を得られず孤独な家族に比べると以下のような明らかな特徴があります。

  • 困難な状況に上手に立ち向かえる(※参考文献4~11)
  • 抑うつ状況に陥ることが少ない(※参考文献12)
  • ストレスを感じる程度が少ない(※参考文献13)

親族や友人からの支援を受けている患児の親は、困難な状況に直面してもより前向きに対応できる傾向があります。(※参考文献14)

深刻なストレスは、ほとんどの人を「闘うか、さもなければ逃げよう」という気持ちに追い込みます。ほとんどの小児がんの治療が必要とするような長い間この状態に置かれた場合、患児の親の精神状態に長期的な影響を及ぼす場合があります(※参考文献15,16)。しかし、以下のような良い情報もあります。

  • 友人やその他の周囲の人たちから配慮や支援を受けることで、心理面に限らず、ストレス由来の身体的な症状も減るという良い効果が得られます(※参考文献1)。
  • 社会とのつながりは、ストレスの影響を和らげることで、炎症(※参考文献10)、心臓血管系、内分泌系、免疫反応などの問題を減少させます(※参考文献15,16)。
  • 社会からの適切な支援があると、患児の親が家族にできる世話の質が高くなります。(※参考文献17)。
  • 周囲からの支援があると、患児の兄弟姉妹は物事により良く向き合うことができます(※参考文献18)。周囲の人たちから直接的な支援を受けている兄弟姉妹は、抑うつ状態や不安に陥ることが少なく、行動面での問題も少なく、全体的にうまく適応できる場合が多くなります(※参考文献19)。
  • 他人の世話や支援を行うことで、支援を行う側にも良い効果をもたらすことが実証されています(※参考文献34)。事実、他人の世話を行い、気持ちを支えてあげている人たちはより長生きをします。

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その家族全体のことを考える

その家族をどのように支援するか考える際には、家族全体のことを考えましょう。患児本人、その親から兄弟姉妹まで、誰もががんの影響を受けます。家族によって必要なことはおそらく少しずつ違っており、対処方法もそれぞれに異なります。家族のメンバーに起こる典型的な問題は以下の通りです。

母親

母親にとっては、わが子ががんの診断を受けて治療を開始する時がもっとも厳しい試練に満ちています(※参考文献20~22)。しかし、いったん治療が始まれば、通常、母親は治療に必要なことに集中し、精神的なつらさは減っていきます(※参考文献23)。友人や知り合いの家族からの手助けと支えがあることで、わが子ががんになったという試練への母親の対処方法は大きく改善されます(※参考文献12,24~27)。特に、母親自身の家族や親友が重要な役割を果たすことでしょう(※参考文献28)。

父親が往々にして仕事や家計の問題が気になる(※参考文献4)のに対して、母親は、わが子のがんと向き合うのを助けてくれる親族や友人をより大勢見つけようとする傾向があります(※参考文献29)。

父親

子どもががんになって家計に不安を抱えている家族では、伝統的な男女の役割分担が見られることがあります。しばしば父親が仕事を続け、母親が仕事を減らしたり辞めたりする傾向があります(※参考文献29)。診断された時には父親は母親ほど悩まないように見えますが、治療中に母親の悩みが多少減るのに対して、父親の不安は減らないようです(※参考文献25)。米国では、母親は家族や友人からの支援を求めることが多いのに対して、父親は医療の専門家、自分の両親・兄弟姉妹などの親族、信仰する宗教団体などの支援により重きを置く傾向があります(※参考文献30)。

兄弟姉妹

多くの人たちが患児に注意を払うあまり、患児の兄弟姉妹が放っておかれてしまうことがあります。がんの治療計画は長く複雑なことが多いので、家族や治療チームにとって兄弟姉妹の優先順位が低くなってしまう場合があるのです。また、がん治療のために何度も通院しなければならない、入院が長引く、両親が患児にかかりっきりになる、家族の生活が分断される、兄弟姉妹と患児との触れ合いがなくなってしまうなどのことがあり、非常に厳しい状況となります。彼らは多くの不安や抑うつ、学業上の問題、寂しさ、孤独感や身体の不調を訴え(※参考文献31,32)、家庭や学校、自分たちの周りの社会についての問題を口にします(※参考文献33)。そして、このストレスに満ちた混乱の時期には、両親が彼らを支えるために十分な時間を確保してあげることが困難です。彼らが一人ではないということ、彼らの気持ちもまた重要で意味があるということを上手に理解させてあげるために、親族や友人などの手を借りましょう(※参考文献19)。

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遠くの病院で治療を受ける必要がある場合

特別な治療は自宅から非常に離れた場所でしか受けられない場合があり、そのことで家族の日常がさらに崩れてしまうということがしばしば生じます。多くの場合、両親のどちらかが仕事を長期間休むか辞めるかして付き添い、もう一人が仕事を続けながら患児の兄弟姉妹の世話と家事をすることになります。そして、そのために家族全員が極めてストレスの多い状況になります。このような場合、日常の買い物や送り迎えのような支援をしてあげると、家に残っている親と子どもたちにとっては非常に大きな助けとなります。友人として電話をしたり手紙を送ったりすることで、病院で付き添っている親の気持ちを支えてあげることもできます。病院で付き添っている親は、家の手伝いをしてもらえることを本当にありがたいと感じることでしょう。また、病院で付き添っている親は、自分達が繋がっていると感じるために他の家族のことを知りたがっています。

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あなたが遠くに住んでいる場合

患児の家から遠い所に住んでいる場合でも、支援できることはたくさんあります、

  • 話を聞いてあげましょう。定期的に電話をして、患児本人、その兄弟姉妹や親など、あなたが支えになれると思う人と話をしましょう。
  • 手書きのカードを送りましょう。
  • 近くにあるケータリング店を探して、家や病院に夕食を届けてあげましょう。(※訳注:食事の手配に関しては、事前に家族に連絡してよく相談してください。)
  • 電子メールやインターネットTV電話サービスなどを使って子どもたちと連絡を取り合いましょう。
  • 患児の家族の近くで支援を取り仕切っている人(「キーパーソン」と呼びます)がいたら、その人に連絡して手助けしたい旨を伝え、支援が必要な時に連絡をもらえるようにしておきましょう。

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【参考文献】(※訳注:全て英語の文献です。)

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周囲の人たちからの支援

 

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