治療終了後~1ヶ月

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「治療終了」の日以降は、薬物治療が定期的に行われることはなく、定期検診の予約も回数が徐々に減ったり間隔が開いたりしていく移行期です。とはいえ、血球数が正常に戻るのに数週間、免疫系が回復するのには数か月間をしばしば必要とするので、受診の回数や頻度が直ちに変更されることはほとんどありません。一部の家族は、この移行期を厄介なものに感じるかもしれません。

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抗生剤(抗生物質)の内服を継続する必要性

抗生剤を内服している場合は、通常、治療終了の数カ月後まで医師の指示通りに服用を続ける必要があります。

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熱が出たり具合が悪くなったりした場合の対処方法

治療後の最初の数週間は、おそらくまだ血球数が少なく、中心静脈ラインを留置している状態です。この間に熱を出したら、病院に連絡し、抗生剤による治療のために受診する必要があります。具合が悪くなった場合にどうすべきかについては担当の治療チームに相談してください。

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水ぼうそうや帯状疱疹の人と接触した場合

水ぼうそうや帯状疱疹の人と接触してしまったら、病院に連絡してください。水ぼうそうウイルスによる感染を防ぐために投薬が必要となるかもしれません。水ぼうそうに対する免疫が十分にあると医師から説明された場合は、治療終了後に水ぼうそうの人と接触しても何の措置も講じる必要はありません。

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中心静脈ラインやポートを取り外すことができる時期

通常、患児は治療終了後すぐに中心静脈ラインまたはポートを取り外します。固形がんの治療を受けた患児に対しては、最終検査が終わり、寛解(かんかい)が確認されるまで中心静脈ラインを留置しておくのが一般的です。中心静脈ラインやポートは、入院をせずに処置室や手術室で取り外すことができます。簡単な外科的処置ですが、中心静脈ラインやポートが取り出された直後、最低でも一両日中は不快感が残ることが多いです。

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中心静脈ラインやポートが取り外された後で血液検査が必要になった場合

治療中は中心静脈ライン、ポート、PICCライン(※訳注:末梢部分から入れる中心静脈カテーテルのこと)などを使って採血しますが、これらのラインやポートが取り外された後は注射針を使って採血が行われます。ほとんどの子どもは採血をうまく乗り切ることができますが、「針を刺される」ことを想像して嫌がる場合もあります。子どもの苦痛を減らすために、チャイルドライフ・スペシャリスト(※訳注:病院生活における子どもの精神的負担をできるかぎり軽減し、成長・発達を支援するための専門職)やソーシャル・ワーカーなどの専門スタッフが科学的根拠に基づいたいくつかの方法を教えてくれます。これらの方法が有効でない場合は、注射する部位を麻痺させるために氷または局所麻酔薬のクリームやパッチを使うこともできます。麻酔薬をつけるべき場所は看護師が教えてくれます。

嘘をつくと信用を失うおそれがあるので、血液検査の予定については絶対に隠さないことが大切です。しかし、次の血液検査について事前に話し合う必要はありません。親御さんはお子さんに最もふさわしい方法をご存知のはずです。長い時間をかけて準備をするのが好きな子もいますが、直前に知らされる方が良いという子もいます。お子さんの不安がる様子が心配な場合には、あらかじめ何か良い方法を考えてください。血液検査の前にチャイルドライフ・スペシャリストや保健行動学の専門家に相談すると、プレッシャーをあまり与えずに済む新しい方法を教えてくれます。科学的証拠に基づいたこれらの方法は、親御さんが同席している場で、お子さんに教えるべきです。そうすれば、実際の採血にあたって、親御さんがお子さんを指導することができます。

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治療終了後も患児が疲れやすい理由

治療が終わっても、お子さんに倦怠感があるのは珍しいことではありません。体力や持久力を取り戻すのには時間がかかります。ほとんどの親御さんは、これらを取り戻すまでには数か月かかる場合もあるということを知ることになります。また、お子さんの睡眠の傾向を観察すると、睡眠の質を改善するために親御さんとお子さんにできることがわかります。

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必要な通院の頻度

治療終了後の最初の1年間は一般的に月1回の受診が続きます。固形がんの治療を受けたお子さんの場合には、もう少し間隔が長くなります(通常は6~12週間ごと)。担当の治療チームの選択や受診先の医療機関の方針によって多少異なる場合もあります。

フォローアップ受診の主な目的は、寛解(かんかい)が継続しているかどうかを確認することです。患児の骨髄の回復具合を確認するために全血球数が測定され、肝臓や腎臓のような臓器の機能を診断するために血液生化学検査が行われます。一般的な健診では医師による視触診とお子さんの調子などを確認する問診が行われます。

固形がんの治療を受けた患児は、寛解が続いていることを確認するための画像検査も定期的に受けます。CT検査、MRI検査、その他の検査の頻度は、がんの種類と治療計画によって異なります。通常、フォローアップ受診の計画を立てるためのスケジュール表やカレンダーを渡されて、最初のフォローアップの受診先で検査が行われます。

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治療の終了を祝うために家族にできること

治療が終わると、友だちや親戚などはとても喜んでくれます。笑顔で迎えられ、患児がとても元気そうに見えることや、化学療法を乗り越えたことへのお祝いの言葉をかけられるかもしれません。

ほとんどのご家族は治療が終了したことをお祝いしたいと感じます。あなたのお子さんとご家族はまさに今、がん治療という大変な困難を乗り越えたのです。大きなことを成し遂げたと言えます。

お祝いすると言っても、ご家族によっては、かつて通院日に通っていた公園に行くような控え目なことかもしれません。一方、中にはホームパーティーや学校でお祝いの会を開こうと決めるご家族もいます。楽しい休暇を計画することで、自分達が前向きなことに集中できると気付く場合もあります。

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お祝いをしたいと感じられない場合

治療の終了を祝いたいと思う親御さんがいる一方、将来のことが心配で、自分の反応が他の人よりもはるかに用心深いことに気付く親御さんもいます。後者の親御さんにとっては、お祝いの会を計画することは時期尚早かもしれません。

この先まだ多くの困難を乗り越えなければならないにしても、あなたとお子さんは治療のための何週間、何ヶ月、あるいは何年をも乗り越えることで、驚くべきことを成し遂げたのです。自分自身にこれまでの足跡を認めるための時間を与えてあげてください。あなたとお子さんがそうすると決めたことは、どんなことであってもあなたにとって正しいことなのです。

 

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