兄弟姉妹の体験記

あるがん患児の姉は、こう書き記しています。

私の妹の脇腹の痛みから、私たち家族の苦しみと愛情の長い旅が始まりました。

私たちはみんな同じ道の途中にいるのに、お互いが何マイルも離れているように思えました。妹の病気が私たちの生活の中心になったので、私の心の中では嫉妬、怒り、混乱が入り混じっていました。私たち家族はもう以前と同じようには戻れないのではないかと思いました。

私は、妹に対して憎しみを感じるようになりました。病気になれば私もプレゼントをもらえて同情してもらえるのに、とよく思いました。妹はスポットライトを浴びて立っているのに、私は隅に放っておかれている気分でした。私は妹に腹を立てていたのです。

みんなは私のことを全く気にかけてくれないのだと思いました。人々はいつも私に妹の病状を聞いてくるのに、私自身が元気かどうかを聞かれたことは一度もありませんでした。妹の体調が悪いのと同じくらい、私は心理的に苦しんでいました。

外見的にはとても丈夫になりましたが、心の中はつらくて死にそうでした

(Murray [JS]、がん患児の兄弟姉妹のための社会的支援、『小児腫瘍学ジャーナル』 2:62-70、1995年)

私のことは?

負担が大きく、しばしば予測不可能な経験をすることで、がん患児の健康な兄弟姉妹が受ける影響には以下のようなものがあります。

  • 本来あるべき、両親との「充実した時間」が失われがちになります。
  • 兄弟姉妹にとって必要なこと(たとえば、宿題の手助け、学校や放課後の習い事などへの送り迎え、食事の準備、学校行事への参加、など)を両親がやってくれるかどうかがはっきりしなくなります。
  • 自分が健康であることや、病気の兄弟姉妹に対する否定的な気持ち、両親にすでに過大なストレスや負担があるとわかっているのに自分がさらに負担を増やしてしまうことに関して、罪悪感を持ってしまいます。
  • 病気の兄弟姉妹が入院や通院をする中で、先行きもわからないままに家族の日常生活が変化していくことや、病気や治療の効果について知りたいのに教えてもらえないことに対して、恐れや不安の気持ちを抱きます。
  • 自分たちの生活がどんなものなのかを誰も理解してくれないというような孤独感を抱いてふさぎこんだり、入院や通院に付き添っている家族から疎外されたように感じたりします。
  • 悲しみや憂鬱を感じます。
  • 自分は大切ではない、とか、 “十分に良い子ではない”と感じがちです。
  • 学校の成績が落ちます。注意力が散漫になって集中力が低下するのと、両親が以前に比べると宿題を手伝ったり学校の成績を気にかけたりできなくなり、自信や支えを失うことで学習が難しくなるためです。
  • 友達との関係づくりが難しくなります。家族の闘病ということが友達には全く関係ないことである上に、親が健康な兄弟姉妹を友だちの家や習い事などに連れていくことができなくなるためです。

兄弟姉妹のための提案

  • 次のような理由から、可能な時には兄弟姉妹にも入院先や通院先に同行するように勧めましょう。
    • スタッフと知り合いになることができ、自分たちもまた「特別なひとり」であるという気持ちを強くすることができます。
    • 患児と保護者の許可があれば、スタッフは兄弟姉妹が知りたい医療情報を提供することができます。
    • 兄弟姉妹は、患児と一緒にゲームをしたりTVやビデオを見たりして過ごすことにより、自分も役に立っていると感じることができます。
  • 親御さんは、兄弟姉妹の心のよりどころとなるような“親子水いらずの時間”を作ってあげることができます。
  • 可能な時にはいつでも、放課後行きたい所はどこか、親御さんがいない時に面倒を見てもらいたい人が誰かについて、言葉にして伝えるように兄弟姉妹に話しておきましょう。
  • 常にお子さんの理解力に合った正確な情報を伝えるようにしましょう。必要とする時に質問をすることができ、「心のうちを話すことができる」ということがわかっていれば楽になります。親に話を聞いてもらい、自分がよく理解されていると思う時、子どもは自分が大切な存在なのだと実感することができるのです。
  • がんに関しては何の責任もないので、自分が健康だからといって罪悪感を持つ必要はないのだということを兄弟姉妹に知らせましょう。子どもは、自分が何かひどいことを言ったり考えたりしたせいで兄弟姉妹ががんになったのだと思い込むことがよくあります。
  • このような時期には難しさがいっそう増しますが、公平で一貫性のあるしつけを続けることがやはり重要です。
  • お子さんがきちんと行動できたら、親御さんはそれをとても誇らしく思うということを伝えましょう。そして、どんなに愛しているかということをお子さん全員に日常的に知らせましょう。
  • お子さんの信念や考えが正しい時には同意してあげましょう。お子さん達は病気や治療のことで混乱しており、自分自身の考えを信じていいのかどうかを親御さんに確かめることがあります。
  • 何かあったら、受診している病院のソーシャルワーカー、臨床心理士、チャイルド・ライフ・スペシャリスト(※訳注:病院生活における子どもの精神的負担をできるかぎり軽減し、成長・発達を支援するための専門職)などのスタッフに相談しましょう。兄弟姉妹に関する問題にも必要な支援をしてくれます。
  • お住まいの地域に、特に患児の兄弟姉妹を対象にした支援プログラムがあるかもしれません。この情報については、病院のソーシャルワーカーや臨床心理士に問い合わせてみてください。

Nancy Barbach [ACSW, BCD] Schneider Children’s Hospital

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