お子さんを亡くされた直後に

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お子さんを亡くされるまでに、あなたは肉体的にも精神的にも本当につらい日々を送られたことと思います。お子さんを亡くした直後、多くの親御さんたちは今までこらえていた涙をこらえることができません。何も感じなくなり、自分の気持ちをどのように表現して良いのかわからない親御さんもいます。また、わが子を数分間、あるいは1時間でもそれ以上でも抱きしめていたいと感じることもあると思います。病室や病院から抜け出してしまいたいという衝動にかられる人もいますし、逆に、わが子が最後にいた場所なので病室を絶対に離れたくないと思う人もいます。このような反応は全て当たり前のものです。

お互いに慰め合うことが大切です。お子さんの死に立ち会ってくれた他の人と同じように、親であるあなたは怒り、悲しみ、自責の念、罪の意識、苦しみから解放された感じなど、予期していなかった様々な感情が湧き出てくることに驚くでしょう。お子さんが亡くなって数時間しか経っていなくても、家族全員はそれぞれ違うタイミングで異なる気持ちを経験します。感情的になる人もいれば、感情を抑える人もいます。感じ方や感情表現については何が正しくて何が間違っているということはないのです。

お子さんを亡くされて数時間から数日間が経過すると、他の家族や周囲の人たちは何とかあなたの手助けをしたいと思いますが、どうしたらよいかわからないことがよくあります。彼らにはあなたがして欲しいことを伝えてください。あなたは、しばらくの間そっとしておいて欲しいと思うかもしれません。あるいは、葬儀やお別れの会の計画や準備を手伝って欲しいと思うかもしれません。家族以外の誰かに自分の気持ちをただ聞いて欲しいと思うかもしれません。また、周囲の人たちはあなたの望んでいることや必要としていることを考えて、いろいろ申し出てくれることでしょう。それらがあなたの希望通りであれば、彼らの善意を喜んで受けましょう。あなたの希望と異なる場合には、彼らの善意や申し出に大変感謝しているものの今は必要ないと伝えるか、あるいは、彼らにできる別のことを頼みたいと遠慮なく伝えましょう。

お子さんが亡くなったことを電話、メール、ブログなどを使って他の人たちに知らせて欲しいと親戚や友人に頼む親御さんもいます。あなたの友人たちが、あなたの悲しみや嘆きという重荷を共に担い、あなたを支えたいと願うのは当然のことです。周囲の人たちに何が起きたかを知らせることは、彼らがお子さんのことを気にかけ、安らかな旅立ちを祈ってくれていたことへ感謝の気持ちを表すことにもなります。

子どもたちの中には自分の葬儀の計画を立てておく子もいます。赤いドレスを着たい、お棺の中にぬいぐるみを一緒に入れて欲しい、自分が書いた詩を父親に朗読してもらいたい、などです。

家族が特定の宗教を信仰していない場合は、葬儀の仕方について意見が別れることがあります。病院のチャプレン(※訳注:米国では、ほとんどの病院に特定の宗教によらないチャプレン(教誨師)を置く義務が課せられています。)や、宗教関係者に相談すれば、どのような方法があるかを説明してくれて、お子さんのために最も有意義な方法を決める手助けをしてくれます。

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亡くなった子の兄弟姉妹

亡くなったお子さんの兄弟姉妹は”forgotten grievers(※訳注:忘れられた悲嘆者の意味)”と呼ばれることがあります。彼らは親族や友人たちへの連絡、葬儀の手配などの喧騒に紛れて忘れられ、悲しみや涙に暮れているうちに、自分の世界に引きこもってしまうことがあります。そのような事態が起きないように、今、家族内でどのようなことが起きているかを説明し、安心させてあげる必要があります。あなたは親として様々な決断をしなければならず、混乱していることでしょう。10代の子どもがいる場合、その子は友人のところへ出かけたいと言うかもしれませんが、これは彼らが無関心だからではなく、両親の友人が両親を助けてくれるのと同じように、彼らにとっては友人がこの状況を切り抜けるために手助けをしてくれる存在だからです。兄弟姉妹をできるだけ全てのことに関わらせるべきですが、彼らが躊躇する場合にはその気持ちを尊重してあげましょう。幼児には死が永遠の別れを意味することがわかりません。彼らが悲しむのは、あなた達が悲しんでいるからです。彼らが集中できる時間は短いので、すぐに遊びたがるか、慣れ親しんだ日常の活動に戻りたがることでしょう。幼い子どもは周囲で恐ろしい出来事が起きていても、親などの慣れ親しんだ人と普段通りの生活をすることで、愛されていると感じて元気づけられます。

よくある質問事項として、「兄弟姉妹を葬儀に出席させるべきですか?」というものがあります。これまで述べてきた通り、何が正しくて何が間違っているという明確な答えはありませんが、今はほとんどの人達が、兄弟姉妹にとって葬儀に出席した方がその子が亡くなったことによる深い悲しみを理解することができ、そのことを心に刻むことができるので重要であると考えています。まだ3~4歳の子でも、事前に準備をして十分な配慮をしておけば葬儀に参加することができます。しかし、じっと座っていられなくなったり感情的になってしまったりした時に面倒をみてあげられるように、葬儀の間中、その子がよく知っている親族の誰かが様子を見ている必要があります。幼い兄弟姉妹の場合、おそらく一番良いのは、葬儀の主要な部分だけに参列できるようにすることです。お子さんが葬儀に参列したくないと言う場合には、理由を尋ねることが重要です。時には葬儀について勘違いをしていることもあるので、最終的な判断をする前に、お子さんの話を聞いてあげることが大切なのです。

家庭内で日頃どのような会話がなされているかにもよりますが、よちよち歩きの時期を過ぎた子どもなら、葬儀の時に自分の兄姉姉妹がそこにいることはわかるだろうと思います。亡くなった子が一人きりでは寂しいだろうから一緒にいてあげたいと思うかもしれませんし、葬儀に出ることを生前に約束し合っていたかもしれません。また、葬儀に出たくない場合の理由としては、これは兄弟姉妹のための式であるし、自分は悲しみに押しつぶされそうになっているので参列したくないと思っているかもしれません。どちらにしても、彼らの言うことに理があると考えるなら、それを認めてあげることが大切です。繰り返しになりますが、葬儀に出るか出ないかという問題に正解というものはありません。ただ、多くの兄弟姉妹は後になってから葬儀に出なかったことを後悔しています。そのためにも、どこか一部だけでも彼らが参加できるように工夫してあげると良いでしょう。例えば、葬儀会場へ一緒に行って、お棺の側でしばらく過ごすなどの方法もあります。その際には、兄弟姉妹が書いた手紙や絵、選んであげたおもちゃなどをお棺に入れてあげることができます。あなたが一緒に行ってあげることによって、葬儀が始まる前に特別にお別れを言うこともできます。また、お棺の中の兄弟姉妹に会うことで気が変わって、葬儀に参列したいと思う場合もあります。いずれの場合においても、近い親族の中で、兄弟姉妹と一緒にいて、きちんと面倒を見ることができる人を見つけておく必要があります。簡潔に言えば、まずは葬儀に出るように話をしてみて、兄弟姉妹の率直な気持ちを受け入れてあげるのが一番良い方法です。

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亡くなった子の祖父母

祖父母は、孫を失い、そして自分の子どもであるあなたがわが子を失うという二重の悲しみを経験しています。祖父母には、あなたやあなたの配偶者、他の孫たちを慰めるという重要な役割があります。また、色々な手配事項や他のお子さんの面倒を見てもらうことなどについて、頼めることを一覧表に書き出しましょう。祖父母の気持ちがそれを許す状況であるならば、葬儀の際に亡くなった子の兄弟姉妹の面倒を見てもらうのに最も適した人たちです。

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周囲の人たち

友人は、あなたへの親愛の情と個人的な尊敬の気持ちでつながっているからこそ友人と言えるのです。このような関係があるので、あなたの友人は、あなたやあなたの家族のために「何かしてあげたい」、もっと言えば、その必要があると思っています。友人に心からのお悔やみを言われたら、それは友人があなたのことを気に掛けていて、あなたがお子さんを亡くしたことに心を揺り動かされている現れです。その人たちにも亡くなったお子さんとの心の絆があったのです。あなたの友人が亡くなった子の兄弟姉妹のことも良く知っているのであれば、気持ちや体調などのせいであなたが十分対応できない時には兄弟姉妹の世話を頼みましょう。

親しい友人に限らず周囲の人たちは、あなたが気持ちの整理をして安らげるようにするために家族のように大きな役割を果たすに違いありません。亡くなった子の兄弟姉妹や祖父母に宛てたお悔やみのカードや手紙は、家族にとって悲しみが限りないことを思い出させてくれます。あなたの話を聞いて、お子さんの学校の先生は何が起きたかをクラスメートたちに説明するでしょう。そして、クラスメートたちが亡くなった子との想い出を記憶にとどめる方法や、残された兄弟姉妹を支えてあげる方法について考える手助けをしてくれます。植樹や花壇作り、チャリティー目的の募金など、亡くなったお子さんのことを記憶にとどめるのにふさわしい方法を周囲の人たちが考えてくれるでしょう。

周囲の人たちが「何かしてあげたい」という気持ちを表す時にどの方法が一番良いかと決断を迫られると、あなたはそれを重荷に感じるかもしれません。そのような時には親しい友人に頼んで、どれが一番良い方法かを代わりに考えてもらい、2週間から1か月ほど経ってからあなたを交えて話し合うように頼むと良いでしょう。そうすれば、友人たちがアイデアを練るのにエネルギーを注ぐ間、あなたは自分自身と家族が、今必要とする心のケアに時間を割くことができます。

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医療の専門家

驚かれるかもしれませんが、病院のスタッフ、特に研修医などは、お通夜や葬儀に呼ばれたらどうしようかと悩むことが多いようです。これは病院のスタッフが同じ地域に住んでいる場合にはあまり問題にならず、医療関係者が友人を訪ねてお悔やみを言うことは自然なことと受け止められます。しかし、医師は、自分たちにできることを全うしたと患者の家族が思っていないのではないかとか、子どもの死に関して医師側の過失を見つけようとしているのではないかといった心配をすることがあります。医師との間でこのような会話があった場合には、その医師がお子さんの生前に最も長く治療をしてくれていたとしても、このようなことが起こり得ます。一部の子の葬儀にだけ行って他の子の葬儀に行かないことや、他の患児の治療から離れて葬儀参列のために時間を割くことを心配する医療関係者もいます。しかし、お子さんのことを知っていたり世話をしてくれたりした人は、亡くなったお子さんのご冥福をあなたと一緒に祈ることで癒されるということがわかっています。

 

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