患肢温存術後の問題

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「患肢温存術」とは

患肢温存術とは、がんができた骨全体ではなく病変部分の骨だけを取り除いて、金属製の人工骨や他の人からの移植骨(同種移植)を使用したり、移植骨と金属製の人工骨の両方を併用して手足が機能するように再建することです。

(※訳注:日本においては「骨バンク」のシステムが整っていないため移植骨を入手するのが困難であり、一般的には金属やセラミック性の人工骨が使用されています。)

この手術の目的:

がんを完全に切除し、合併症を最小限に抑えると同時に、機能、耐久性、四肢の外見を患者が受け入れられるレベルに維持することが目的です。

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患肢温存術後に生じる可能性がある後遺症

  • 偽関節-骨移植による再建を行うと、後遺症として偽関節(骨癒合不全)が生じる可能性があります。同種移植では、がんを切除するために取り除いた骨の代わりに、ドナーの骨を移植します。移植した骨の片側または両側の端がうまく癒合しない場合に偽関節ができ、特に負荷の高い部分では骨折が起きやすくなります。再度骨移植術が必要となる場合もあります。
  • 肢長の不一致-小児期および若年期を通じて、骨は成人の身長に達するまで休むことなく成長を続けます。どの骨にも骨端軟骨板(成長活動が起きる部位)があります。この骨端軟骨板の近くにがんができることがしばしばあり、患肢温存術によってこの部分の除去が必要になることがあります。この骨の再建部分が成長しなければ、肢長の不一致(※訳注:左右の手足の長さが違うこと)が生じる場合があります。成長の程度を合わせるためには、手術または他の処置が必要になることもあります。
  • 人工関節のゆるみ-特に活発に動く人の場合、人工関節がゆるんだり、すり減ったりすることがあります。このような合併症がみられる場合は、再手術を行って人工関節の一部または全体を締め直すか入れ換える必要があります。人工関節のゆるみに気付いた場合は、通院している病院の担当医に伝えましょう。
  • 拘縮(こうしゅく)-患肢温存術後に、筋肉、腱、および靭帯が硬直したり、縮んだりして、拘縮(永久的に関節が固まってしまうこと)を引き起こすことがあります。これは、運動量の少ない人に多くみられます。理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを定期的に受けると拘縮の予防に役立ちます。

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必要な経過観察

  • 通常、経過観察のための通院は、成長期が終わるまでは半年に1回、その後は1年に1回、整形外科医(骨の専門医)を受診します。手術からの期間が長くなったら、受診間隔をあけてもよいでしょう。
  • 年に1回はX線検査を受けましょう。
  • 整形外科医による経過観察は生涯を通じて受けることを推奨します。

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患肢温存術後の健康促進のために

  • 患肢温存術後のリハビリテーションを成功させるためには、理学療法や作業療法が重要な役割を果たします。四肢の機能を最適な状態に維持するためには、受動的および他動的関節可動域訓練が大切です。
  • 手術部位に痛み、腫れ、発赤などを含め炎症の徴候がある場合や発熱がみられる場合は、通院している病院の担当医にすぐ連絡しましょう。
  • 生涯にわたって感染のリスクがあるため、歯の治療(歯石除去を含む)や、気道、消化管、尿路などへの観血的な治療処置(※訳注:手術のこと)を受ける場合には、必ず事前に抗生物質を服用しましょう。このような処置中に細菌が血流に入ると、体内部の金属部品(ねじ、プレート、ロッド、継手など)に付着し、感染症を引き起こす危険性があります。
  • 金属製の人工骨の一部は、空港などのセキュリティーチェックを通過するときに問題となる場合があります。がんを発症したため金属製の人工骨が体内にあることを医学的に示す説明文書を持っておくとよいでしょう。

Asako Komiya [RN, MSN, PNP] City of Hope, Duarte, CA.

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