下垂体機能不全症

小児期にがんの治療を受けた人は、ホルモンを分泌する内分泌系の機能に異常が生じる場合があります。下垂体は内分泌系の器官の一つで、身体がうまく機能するために必要ないくつかのホルモンを作っています。ホルモンが十分に分泌されないと、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

 

下垂体機能不全症とは

下垂体機能不全症は下垂体が十分な量のホルモンを分泌できない時に起こります。3種類以上のホルモンを十分に出せない場合は汎下垂体機能不全症と呼ばれます。

ページの先頭に戻る↑

下垂体機能不全症のリスク要因

下垂体機能不全症の発症リスクが高くなる要因のうち、小児がんの治療と関係があるのは、脳への放射線治療下垂体の切除手術です。その他のリスク要因は、感染症、頭部への深刻な外傷、先天的な下垂体の発達不全です。

ページの先頭に戻る↑

下垂体機能不全症の症状

下垂体機能不全症の症状は、どのホルモンを作れないかによって異なります。以下のうちのいずれか1つ、あるいは複数のホルモンの産生不足によって影響を受けます。

  •  成長ホルモン: このホルモンは、骨やその他の身体の組織を刺激して成長をさせます。また、身体がどのように脂肪を使うかにも影響し、筋肉を作り、骨を強くします。成長ホルモンは生涯にわたって健康状態全般に影響を及ぼします。成長ホルモンに関する問題の詳細については、「成長ホルモンの不足」のページを参照してください。
  • 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) : このホルモンは、副腎を刺激してコルチゾールを生成させます。下垂体が副腎皮質刺激ホルモンを十分に作らないとコルチゾールが生成されません。コルチゾールは身体が血糖値を正常に保ち、身体的なストレス(例えば発熱や怪我など)に対処するのを助ける働きをします。副腎皮質刺激ホルモンの不足に関する詳細については、「中枢性副腎機能不全」 のページを参照してください。
  • 甲状腺刺激ホルモン: このホルモンは甲状腺を刺激してチロキシンを生成させます。チロキシンは脳の発達、成長、代謝のために重要です。チロキシンが少なすぎると、疲労、体重増加、皮膚の乾燥などの様々な症状を引き起こします。甲状腺の問題の詳細については、「甲状腺の問題」のページを参照してください。
  • 生殖ホルモン: 生殖ホルモンは、精巣や卵巣を刺激して性ホルモンを生成させます。これらのホルモンが十分ないと、思春期の発達に問題が起こります。生殖ホルモンに関する問題の詳細については、「男性の健康上の問題」または「女性の健康上の問題」のページを参照してください。
  • 抗利尿ホルモン: このホルモンは、尿の排出を調節することによって体内の水分バランスを管理するのを助けています。このホルモン値が正常ではないと、体内に水分が蓄積したり、尿の量が多すぎたり、血液中の塩分濃度が濃すぎたり、深刻な喉の渇きが生じたりします。
  • プロラクチン: このホルモンは、授乳中の女性の母乳の分泌を調整します。プロラクチンが多すぎると、卵巣または精巣の機能に関して問題を引き起こし、妊娠していない女性や男性に母乳を分泌させることがあります。プロラクチンに関する問題の詳細については、「高プロラクチン血症」のページを参照してください。

ページの先頭に戻る↑

検査の必要性

全ての小児がん経験者は、身長と体重の測定、思春期の発達状況や栄養状態、全体的な健康状態を評価する長期フォローアップのための診察を毎年受診しなければなりません。

下垂体機能不全症を発症していると思われる場合は、担当医に下垂体機能不全症の検査を依頼してください。問題が見つかった場合は、担当医が内分泌専門医(ホルモンを専門とする医師)に紹介してくれます。

下垂体機能不全症を発症している場合:

治療は、どのホルモンが不足しているかによって異なりますが、担当の内分泌科医が相談に乗り、適切な治療法を見つけてくれます。

トップページへ戻る