急性骨髄性白血病(AML)の診断

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急性骨髄性白血病(AML)は骨髄で発症し、血流にのって全身に広がる血液のがんです。成人のほうが一般的ですが、小児でも米国では毎年約500人が新たに診断されています。

Bloodcells

白血病は骨髄で発症します。骨髄とは骨の中にあるスポンジ状の組織で、そこで血液細胞が作られています。白血病は、「芽球」と呼ばれる未熟な白血球がたて続けに変異を起こし、制御できないほど増殖することで始まります。そして遂には芽球が増えすぎて、骨髄から正常な細胞を追い出してしまいます。それらは血流の外へもあふれ出し、リンパ節、脳、皮膚、肝臓、腎臓、卵巣、精巣などの器官に浸潤します。「緑色腫」と呼ばれる固形腫瘍を形成する場合もあります。

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急性骨髄性白血病(AML)の症状

白血病細胞は正常細胞を追い出します。正常細胞の減少は以下のような白血病の症状を引き起こします。

  • 貧血: 赤血球の減少による倦怠感と血色不良
  • 好中球減少症: 病気そのもの、あるいは白血球が減ったことが原因で起こる感染による発熱
  • 血小板減少症: 血小板の減少による紫斑や出血
  • 関節の腫れを伴う骨の痛み(時々)

白血病の徴候や症状は小児によくあるインフルエンザや風邪のような病気と同じなので、多くの子ども達は白血病と診断される前に別の病気としての治療を受けています。

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急性骨髄性白血病(AML)の診断確定

白血病の疑いがあるお子さんを診断するには様々な検査が行われます。最初の検査は全血球数(CBC)と呼ばれる血液検査です。患児は小児血液腫瘍の専門医や小児がん専門医へ紹介される前に、一般の小児科医やかかりつけ医によって血液検査を指示されます。これらの検査はがん専門医によってまた繰り返して行われます。

血液中に白血病細胞が見つかっても、白血病の診断と分類は顕微鏡下で骨髄液の標本を観察することで確定します。この標本は骨髄穿刺で採取します。骨髄穿刺によってAMLの病型分類もわかります。

骨髄穿刺と一緒に行われる追加検査は骨髄生検です。骨髄生検は、骨髄穿刺で採取した標本内にほとんど細胞がなかった時に診断するのに役立ちます。

脊髄穿刺は通常、中枢神経系に白血病細胞がないかどうかを見るために行われます。

これらの検査後、担当医は細胞遺伝学的検査(白血病細胞に染色体異常がないかどうか調べる検査)を行うように検査室に指示を出します。染色体の突然変異の全てが容易に見つかるというわけではなく、細胞遺伝学的分析と呼ばれる特別な検査手法(染色体の中の非常に小さな異常をみつける検査)を使わないと見つからない場合もあります。こうした染色体の小さな変異は、最近、白血病の新しい治療法の対象となっており、その治療法によって完治する可能性も期待できます。染色体の所見に基づいて主治医はAMLの病型を診断し、長期治癒や再燃の可能性から予後を予測することができます。(※訳注:染色体異常を見つけて白血病の分類が確定すると、治療の参考にもなります。)

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急性骨髄性白血病(AML)の病型

AMLは異なる病型に分類することができます。病型は、治癒の一般的な見通し(予後)と最も効果的な治療法を主治医が決める際の指標となります。

AML患児の約75~80%は、身体の他の部分にある細胞の染色体に比べると形成が十分でない染色体を含んだ白血病細胞を持っています。このような異常な染色体は、正常な骨髄細胞の1つがコピーを作るために細胞分裂した時に初めて形成されました(細胞分裂は私たちの中で1日に何百万回も行われています)。その異常な染色体を持った新しいコピーがまさしく最初の白血病細胞だったのです。生まれつき持っていた変異ではないという意味で、これは後天性突然変異と呼ばれることもあります。様々な種類の染色体の異常は、通常の骨髄細胞が白血病細胞になるという結果を引き起こす可能性があります。

治療への反応についての情報を提供してくれる染色体の異常構造が何種類かあります。比較的治癒しやすいAMLを引き起こす染色体異常は「低リスク変異」と呼ばれ、より治癒が難しいAMLを引き起こす染色体異常は「高リスク変異」と呼ばれます。この場合のリスクとは、再発のリスクと治療がうまくいかないリスクの両方を意味します。

AMLや他のがんをもたらす突然変異の全てを発見するために、絶えず研究が行われています。こうした突然変異の研究のうちのいくつかは、がんの新しい治療法の発見につながりました。研究によって、これらの突然変異は、制御できない状態をしばしば引き起こす異常なタンパク質を細胞内に作り出すか、あるいは正常なタンパク質のコピーとして増殖を止める機能を失ったタンパク質を作り出すことが結論づけました。

「スタート」ボタンが押された状態のままか、あるいは「停止」ボタンが壊れていて何百万部もコピーするのを止めることができないコピー機のようなものだと考えてください。すぐに部屋がいっぱいになってしまうことが想像できるはずです。がん細胞が制御しきれないほど増える時、同じことが人の器官で起こります。がんに対する新しい治療の取り組みでは、この新しい知識を利用して、制御不能なコピーが起こらないように異常なタンパク質の生成を阻止したり、「停止」の機能を失ったタンパク質を入れ替えたりすることを試みます。

残念ながら、何百種類もの突然変異には、それぞれが作り出したり作り損じたりした異なるタンパク質があります。したがって、それぞれの変異の種類(またはAMLの病型分類)に応じて違う薬物療法を発見して作る必要があるかもしれません。しかし、これらのいくつかについては一緒に「分類」することができ、類似した新薬で治療できると研究者は考えているので、全ての病型に対して新薬が作られるのを待つ必要はありません。

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リスク分類

現在、AMLを引き起こす多くの突然変異の中で、治療がうまくいかないリスクに影響を及ぼすことが知られているものはごくわずかです。これらは以下に述べるような高リスク群・低リスク群に分類されます。このAMLのリスク分類は、米国小児がん研究グループ(Children’s Oncology Group、略称:COG)の研究からAMLの治療へと応用され、世界保健機関によって公表された「2008年WHO骨髄分類」によって定義されたAMLの病型分類に基づいています。その名称やこれらのAMLの病型分類は、細胞遺伝学的検査で突然変異が見つかる染色体の数か、分子分析で見つかる染色体の特異な遺伝子変異のどちらかに基づいています。

低リスク群のAML突然変異:細胞遺伝学的、分子的に診断確定された下記のAML

  • 16番染色体逆位を伴うAML
  • CEBPA 遺伝子の異常を伴うAML
  • 染色体8;21転座を有するAML
  • ヌクレオホスミン遺伝子(NPM1)の異常を伴うAML

AML突然変異の高リスク群:細胞遺伝学的、分子的に診断確定された下記のAML

  • 7番染色体のモノソミーを伴う AML (※訳注:モノソミーとは、通常2本で一対となっている染色体の片方が欠失している突然変異のことです。)
  • 両方の対立遺伝子が突然変異している割合が高い、FLT3遺伝子の異常を伴うAML
  • 5番染色体の長腕(5q)に異常を伴うAML  (※訳注:2本で一対となっている染色体の短い方を「短腕(p)」、長い方を「長腕(q)」と呼びます。)

研究が進んで新しい治療法が登場すると、このリスク分類に新しい病型が追加されたり古い病型が削除されたりして、これらのAMLの分類は絶えず変わり続けています。上記のカテゴリーに含まれていないAMLの病型は、しばしば中間的(平均的)リスクAMLと呼ばれます。

最終的に、AMLの治療に患児がどのように反応するかということは、その子にとっての治療のリスクと今後の治療の選択肢を決定するのにおいても重要です。化学療法を1コース行った後で骨髄内に目に見えるほど白血病細胞が残っている場合には、長期間に及ぶ治療をしても失敗する可能性が高くなります。

ですから、医師はお子さんのAMLが「高リスク群」「低リスク群」いずれのタイプであるかどうか決定するために、化学療法初の最初の1コース後に行う骨髄検査に、細胞遺伝学的検査、分子的検査の結果を加味することでしょう。高リスク群のAMLは、治癒の可能性を高めるために追加治療やより新しい種類の治療を必要とします。低リスク群のAMLは、現在行われている定型的な治療を行うことで治癒する可能性が十分にあることを示唆しています。

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進行度の判定

AMLは血液のがんなので、診断時点で広範囲に存在しており、固形腫瘍と同じ方法で「ステージ(stage、進行度)」を判定する必要はありません。病気の程度を診断するためにX線検査は行いません。しかしながら、白血病細胞は脊髄液の中にも存在することがあり、それは「中枢神経系(CNS)白血病」として知られています。脊髄液を採取するために脊髄穿刺または腰椎穿刺という特別な検査が行われます。

白血病は骨髄や血液中だけでなく血液系の他の部位に広まり、それらの器官の腫大を引き起こす場合があります。その部位は以下の通りです。

  • リンパ節
  • 肝臓
  • 脾臓
  • 精巣
  • 皮膚
  • 歯茎、歯肉

中枢神経系を除く他の器官に浸潤があったとしも、通常は実施する治療の種類に影響しません。

米国版の更新時期: 2011年9月
日本版の更新時期: 2012年3月

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