急性リンパ性白血病(ALL)の診断

INDEX

白血病ではないかという疑いが生じると、診断するために数多くの検査が行われます。最初の検査は「全血球数(CBC)」と呼ばれる血液検査です。患児は、小児血液腫瘍や小児がんの専門医に紹介される前に、普通の小児科医や家庭医に血液検査を受けるよう指示されます。これらの検査は患児が専門医を受診する時にもまた繰り返し行われます。

血液中に白血病細胞が見つかった場合、白血病の診断と分類は顕微鏡下で骨髄の標本を診ることで確定します。この標本は骨髄穿刺によって採取されます。

Bloodcells

骨髄穿刺と同時に骨髄生検が行われる可能性もあります。

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進行度の判定

急性リンパ性白血病(ALL)は血液のがんなので、固形がんのように「ステージ(stage)」を用いた病期分類を行いません。もともと白血病は診断された時点で全身に広がっていますが、このことは治療の成否に影響しません。 しかしながら、白血病細胞が脳脊髄液内にも存在している場合があり、それは中枢神経系(CNS)白血病として知られています。検査に必要な髄液を採取するために脊髄穿刺(または腰椎穿刺)と呼ばれる特別な検査が行われます。

ALLは骨髄と血液の中に存在するだけでなく、血液系の一部にも広がる場合があり、臓器の腫大を引き起こします。多くの部位に影響を及ぼす可能性がありますが、一番多いのは以下の部位です。

  • リンパ節(リンパ腺)
  • 肝臓
  • 脾臓
  • 精巣
  • 中枢神経系

中枢神経系または精巣以外の臓器に広がっていても、通常、行われる治療法や完治の可能性には影響がありません。

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急性リンパ性白血病(ALL)の原因

研究者は40年間以上にわたってALLの原因を探し続けています。多くの研究によって、その時には手がかりだと思われることが見つかりましたが、それらは後の研究で確認されませんでした。ALLの発症リスクとの関連性が1つもしくは複数の研究で見つかったとしても、その何かが本当にALLを引き起こすということを結論づけるためには詳しい方法で確かめる必要があります。以下はALLの原因とはなりません

  • 送電線や電気器具などによって生じる電磁場
  • 妊娠中の母親の喫煙
  • 妊娠中の母親の飲酒
  • 妊娠中の超音波検査(ソノグラム)
  • 頭蓋内出血を防ぐために新生児に投与されるビタミンK

急性リンパ性白血病の患児に関しては、以下のことがわかっています。

遺伝子の状態

特定の遺伝性疾患(症候群)のお子さんは他の子よりもALLを発症しやすい傾向にあります。その症候群とは、ダウン症候群、神経線維腫症、Schwachman症候群(シュバックマン症候群、シュワックマン症候群)、Bloom(ブルーム)症候群、毛細血管拡張性運動失調症です。このような遺伝性疾患のお子さんはALLの発症リスクが高くなりますが、これらがALL全体に占める割合はごくわずかです。これらの症候群は早い時期に診断されるので、親御さんはお子さんがそうしたケースの一人であるかどうかを既にご存知です。

X線検査で使用する放射線

以前の研究では、母親の子宮にいる間に胎児がX線検査を受けるとALLのリスクが高まるとされていました。しかし今日では、妊娠中におけるX線検査がALLの原因となることはほとんどないと研究者は考えています。なぜなら、妊娠中の女性が頻繁にX線検査を受けることはありませんし、あったとしても昔に比べてX線量が極めて少ないからです。また、骨折や虫歯を診断するためにX線検査を受けたお子さんにALL発症のリスクが増すことはありません。

発症率と経済的な状態

研究によって小児ALLの発症における特定の傾向が分かってきました。米国では、ヒスパニック系の子どもは東欧系白人の子どもよりALLを発症しやすい傾向にあります。東欧系白人の子どもはアフリカ系の子どもよりALLを発症しやすい傾向にあります。アジア系の子どものALLの発症が他の人種の子どもと比較するとどうなのかについてはわかっていません。よくわかっていないという理由から、統計上ではより裕福な国の子供のほうが貧しい国の子どもよりALLを発症しやすいということになっています。

男性/女性

ALLと診断される患児は、女児よりも男児がわずかに多いです。

出生時の体重が多い場合

ほとんどの研究が、出生時の体重が多い赤ちゃん(4,000グラム以上)においてALLの発症リスクがわずかに高くなることを示しています。なぜ出生時の体重が多いとALL発症のリスクが増すのかについては、現在のところまだわかっていません。

米国版の更新時期: 2011年9月
日本版の更新時期: 2012年3月

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