悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫、NHL)の診断

INDEX

非ホジキンリンパ腫(以下、NHLと省略)と診断される患児は次のような症状を経験しています。

  • リンパ節腫大による首、腋下(※)、鼠径部(※)の腫れ。関係するリンパ節が胃や腸にある場合もあるので、腹部の膨張、腹痛、便秘などもあるかもしれません。
    (※訳注:腋下は「えきか」と読み、わきの下のリンパ節、鼠径部は「そけいぶ」と読み、脚の付け根のリンパ節のことです。)
  • ぜいぜい音を立てたり息切れしたりするような呼吸困難や、高い呼吸音は、胸の中で大きくなったリンパ腺によって起こります。
  • 痛み
  • 原因不明の発熱
  • 体重減少
  • 寝汗

LymphoidSystem

NHLが疑われる子どもを診断するには、たくさんの検査が行なわれます。最初に行われるのは視触診と一般検査です。検査で見つかったことと症状に基づいて追加の検査が行われますが、それは以下のような検査です。

HematopoieticCascade

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病期分類

腫瘍切除術や生検で採取した組織、あるいは胸水や腹水から腫瘍細胞がみつかった場合には、より多くの検査を行う必要があります。追加検査で、腫瘍細胞が身体の他部位まで広がっているかどうかを判定します。このプロセスを病期分類と呼びます。病期分類は腫瘍の範囲を識別し、適切な治療を決定するために重要です。

ステージⅠ: 単一のリンパ節領域、または、単一の節外部位(ただし、胸部と腹部は除く)だけに腫瘍がとどまっている状態。

ステージⅡ: 下記のいずれかに該当する状態。

  • 横隔膜(胸腔と腹腔とを分ける薄い筋肉)を越えない同じ側の1つの節外部位とその領域リンパ節に腫瘍が存在する
  • 横隔膜を越えない同じ側の2つの節外部位または2つのリンパ節領域に腫瘍が存在する
  • 腹部にある1つのリンパ節領域または節外部位に腫瘍が存在する

ステージⅢ: 下記のいずれかに該当する状態。

  • 横隔膜の両側(のリンパ節領域または節外部位)に腫瘍が存在する
  • 胸腔内に腫瘍が存在する
  • 腹部に広範に腫瘍が存在する
  • 脊髄のすぐ近くに腫瘍が存在する

ステージⅣ: 腫瘍が病期Ⅰ~Ⅲとして掲載した全ての部位でみつかり、さらに脳、脊髄あるいは骨髄にまで広がっている状態。非ホジキンリンパ腫は以下のABC群で分類されることがあり、この分類を元に治療法が決定されます。

  • A群: 周辺のリンパ節も一緒に完全に摘除することができる腫瘍
  • B群: 手術で取り除くことができない腫瘍がなく、脳に発症しておらず、かつ、骨髄中の腫瘍細胞が25%未満である場合
  • C群: 脳、脊髄または髄液中に腫瘍細胞があるか、骨髄中の腫瘍細胞が25%未満であるか、またはその両方である場合

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治療法や予後を左右する要素

治療法や予後を左右する要素は以下の通りです。

  • 病期: より初期の段階の腫瘍(ステージⅠまたはⅡ)は通常、進行した段階の腫瘍(ステージⅢまたはⅣ)よりもよい結果を得ることができます。
  • 腫瘍の進行度や量: 原発腫瘍の大きさ、リンパ節が含まれているかどうか、身体のどの部位に腫瘍が広がっているかが必要な治療や治療の効果を決定します。
  • リンパ球の生物学的所見: 非ホジキンリンパ腫には多くの異なる種類(※訳注:組織型)があります。組織型は、病理医がNHL患者のリンパ球を顕微鏡下で観察すること(病理組織学的診断)で決まります。NHLの亜型にはそれぞれ異なる治療を行う必要があります。

米国版の更新時期: 2011年9月
日本版の更新時期: 2012年3月

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